幽霊

幽霊は
絶対にいる

そう感じたのは
雑誌に載っている
幽霊スポットや
暗い暗い闇の中で ではない

青い青い
海と空に囲まれた
悲しい過去を抱いた南の島で

タクシーの運転手さんに案内してもらった
観光地となっていない
かつて地獄を見たという防空壕は
人影もなく
静寂はなにも語らなかった

「君たちは幽霊なんて見ないでしょ?
 だってオーラが明るいさぁ」
一度も島を出たことがないという
日焼けしたタクシーの運ちゃんは
そう言って 笑った

ガジュマルの木が
入り口を包むように
かつての地獄を抱いている

静けさの中で
確かに存在するのだと
思わずにいられない
ひとびとのたましい

おおくのひとがしんだ
青い青い
南の島

あれから私は
やっぱり
幽霊を見たことがない






つめとぎ

トップページ
























SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送