「詩とメルヘン」休刊にあたって


どこから語っていいかわかんないんだけど、最後の特別号を読んだ瞬間、書かなくちゃと思った。

「詩とメルヘン」は私にとってとても幸運な出会いだった。
でも、出会いって、どっかで結ばって繋がっている仕組まれたようなもので、こうやって出会うのは、きっとどこかで必然だったりするんだと思う。

そんな「詩とメルヘン」だったから、なくなってしまうのは悲しかったんだけれど、なんだか、私にあるのは悲しみじゃない。

もちろん、なくなるのは淋しい。
あって欲しいし、あるに越したことはない。

だけど、私が悲しみを抱けないのは、あまりにも多くのものを「詩メル」からもらってしまったからだ。
こんなに多くのものをもらっておいて、まだ何かをもらおうとするならとんでもない・・・という気持ちが、実はちょっとしている。(笑)

もちろん、これから読むはずだった詩や文章。これから見るはずだった絵。
これから載るはずだった(笑)私の詩。
そういう、遂げられなかったものはやっぱりあって、淋しい。

したいことはいっぱいあって、出会いたいものは、まだまだいっぱいあった。

でも、私が「詩とメルヘン」を始めて買った時、私はひとりだった。
詩も書いたことがなかった。
こんなに素敵な絵を描く人や、胸を打つ詩を書く人がいることをしらなかった。

多分、私がいち読者としてそのままいれば、「わーん!!!!休刊なんてひどーい!まだ私、載ってないのに――――(T_T)」と言っていたと思う。間違いなく。(笑)

でも、私にとって「詩とメルヘン」というのはただの雑誌じゃなかった。
「詩とメルヘン」という雑誌は、ただの紙媒体である二次元の世界の中で、私と遠いところで作られていて、私は投稿するけれどもそれは一方的な片思いのようなもので、それを除けば、私はただの情報の受け取り人のはずだった。
いち読者とは、そういうもののはずだった。
なのに、どうして、私の日常世界まで「詩とメルヘン」は侵食してきたのだろう。

「詩とメルヘン」を買いつづけて五年。
その間にネットも始め、ホームページも作り、人と出会った。
出会った人達は、本当にすごい人達ばかりだった。

いつのまにかコネで忍び込んだ始めての星屑望年会は、本当に皆、輝いて見えた。
むしろ、そんな会があることにビックリした。(笑)
自分の小ささを思ったりもした。

いつのまにか、その次の星屑忘年会では、大勢の前で歌っていた。
声をかけてくれる人が増えた。

いつのまにか、「詩とメルヘン」の東海組に入っていた。
もう、この辺から、えらいすごい仲間とつるんでいた。
どうしてこうなったか判らないくらいになっていたんだけど、N氏のお陰であり、のほさんのお陰であり、うっちーのお陰だった。
そして、また、それだけでなく、こんな私と仲良くしてくれた人達、可愛がってくれた人達、ひとりの創作者と見てくれた人達、そういう「詩とメルヘン」を通して出会った人達、すべてのお陰だった。

ときどき、自分がどうしてここにいるんだろう。と考えたりもした。

それなのに、グループ展のオープニングパーティーには、近くの方から遠くの方まで多くの人が来てくれ、私たちの歌を聴いてくれていた。
そこは、「詩とメルヘン」という雑誌を通して知り合った人達が、なんの制約もなく自由に集まっていた。
いつのまにか、私たちはそういう場所を作っていて、いつのまにか、私はそういう場所にいた。
気づいたら、皆、知り合いだった。

恐ろしいほどの幸運な人との出会い。私はこうして、多くの人と出会い、考えてもみなかった体験をした。
そう言う人達は、「詩とメルヘン」がなくなっただけではなくならない、心強い人達だ。
ただのこちら側の一方通行だったものが、私の名前を覚えてくれる人まで多くできてしまった。

私は全然すごい人間じゃないのに、すごい人達と一緒に普通に語り合い、冗談を言い合い、一緒の時間を共有する。
最初、「詩とメルヘン」を買ったとき、とてもここまでは想像できなかった。
自分が掲載されると言う、最初に描いた当然の流れのように見えるビジョン(笑)は遂げられなかったのに、想像もしてなかった異常な流れ(笑)により、普通では考えられないすごい人達と知り合えた。
それはこの「詩メル」がとても温かい、人との繋がりのある雑誌だったからだと思う。
そして、そんな雑誌が、この世界に存在するのだということすら、自分が飛び込むまで、知らなかった。

「詩とメルヘン」は、ただの創作のための雑誌ではなかったのだなぁ。と思った。
人との繋がりの雑誌だったのかもしれない。
人との繋がりと創作は繋がっているのだということを、私はそうして知った。

サンリオ刊では最後になるであろう「詩とメルヘン」特別号には、知っている人の名前がわんさかあった。
仲良しの人、会ったことある人、メールでお話した人、ホームページに来てくれた人、名前見知りの人・・・・。
なんだ、「詩とメルヘン」って、知り合いの宝庫じゃん。
なんて、最初にはとても考えられなかった結末。

こうして想像もしない方向にきてしまったから、これからも、あるいは想像しない方向に行くのかもしれない。
そう思いながら。
「詩とメルヘン」ファミリーの歯車の一員に、これからもなれたらいいな。なんて思ったりしている。


2003年7月     由花



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