ストリート


よごれたスニーカー
すりきれたジーンズ
羽織ったカッターシャツ

茶色い髪
耳に光るピアス
使い慣れたギター

暗くて冷たい
コンクリートの上で
彼らが歌う

暗くなった路上で
多くの人の
過ぎ去る足を見ながら歌う

わたしも
彼らにヒールの足元だけを見せて
通り過ぎる

そんなふうに
彼らとわたしとは
違う世界にいる


立ち止まったり
しゃがんだりして
彼らの歌を聴く人々

わたしはどうしても足を止められずに

横目で彼らをちらっと見ながら
なにごともないようなふりをして
行き過ぎる

暗くて冷たい
コンクリートの上に
響くうたごえ


ほんとうのわたしは
彼らが
羨ましくてたまらない
愛おしくてたまらない

ほんとうのわたしは
彼らの前に佇んで
彼らの見ているものを見てみたい


けれども
人波に紛れ
流されて
通りすぎる駅前

うしろから
彼らのうたごえが
きこえる


きみは
疲れた街に
なにを託して
歌をうたう

夢を見ない社会の
その喧騒の中で
今なにを思う



小さな街の
暗い場所で
あたためられている光





つめとぎ

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